オレンジジュース

先日、東海道線に乗って新橋まで行ったときの話です。

予定の整理を手帳にしたくてグリーン車に乗っていきました。

座席に座ってしばらく立つと、笑顔の素敵な車内販売の女性が来ました。

 

喉が乾いていたので、大好きな「オレンジジュース」を買いました。

200円出しておつりをもらい、買ったジュースを渡してくれました。

とこれでは、よくある普通の光景で、特別な事は何も起きていません。

この一瞬の出来事をもう少し詳しく書いてみます。

彼女は僕から200円を預かる時に、自分の左手に右手を添えて膝を少し曲げて小さくなり、確実にお金を受け取れる様にしました(五郎丸のポーズにやや似てます笑)。

そして、おつりを渡してくれる時には、僕の右手の下に、万が一おつりを受け損じてもいいように左手を添えてくれました。

僕がおつりを確実にお財布にしまうのを確認してから、

オレンジジュースの底の部分にハンカチを添えて、ペットボトルの周囲についた水滴が僕の手に着かないように配慮していました。

ここまでも感動的な接客ですが、

この後の渡される瞬間が、まさに最高の感動の時となりました。

それは、彼女は飲み物を、いや「オレンジジュース」を一回、

一瞬軽く逆さまにしてから僕の手に両手で渡してくれました。

素早く、気づかれない様にというさりげない仕草でした。

なので、一瞬よくわかりませんでした。

何で、逆さまにしたんだろう?

あっという間の出来事で、彼女は何もなかったように

客席を離れていきました。

オレンジジュースのフタを回し、

心地よい接客にうっとりしながら、ジュースをゴクゴク飲み、

ペットボトルの底を見た瞬間、ひらめいたのです!

「オレンジジュース」は下に果汁が沈殿しやすいので、

軽く振って味が均一になるように配慮した

その優しさの一振りだったのか!!

それを気づかれないように

さりげなく逆さまにしてから渡してくれたんだー!

と確信しました。

きっとコーラやコーヒーではやらなかったことでしょう。

いや〜完璧にほっこりした瞬間でした。

ただの移動時間が、特別な時間に変わった瞬間でした。

さりげなく、さりげなく。

銀ギラ銀にさりげなく。

今年の紅白のマッチを思い出しながら、手帳の整理もせずに

走る電車の窓に置かれたオレンジジュースが

もったいなく思えて

いつまでも眺めていました。

金沢区 能見台の歯医者院長ブログ

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